@article{ART001798091},
author={Yun, Jae-Seug},
title={石川啄木と『岩手日報』ー初期短歌「白羊会詠草」を中心にー},
journal={Journal of Japanese Culture},
issn={1226-3605},
year={2013},
number={58},
pages={241-258},
doi={10.21481/jbunka..58.201308.241}
TY - JOUR
AU - Yun, Jae-Seug
TI - 石川啄木と『岩手日報』ー初期短歌「白羊会詠草」を中心にー
JO - Journal of Japanese Culture
PY - 2013
VL - null
IS - 58
PB - The Japanese Culture Association Of Korea (Jcak)
SP - 241
EP - 258
SN - 1226-3605
AB - 『岩手日報』は先行論で見るように「啄木の文才と人とをおしむ」啄木の心の後援者であり、彼の文学的才能を発揮できる場でもあった。実際、活字になった啄木の全作品を調べてみたら、もっとも多く掲載された媒体が『岩手日報』である。つまり、啄木において『岩手日報』は「文学的支え」であったと言える。 『岩手日報』の「文苑」欄の內容は漢詩、俳句、短歌などおもに韻文となっている。その作品は讀者からの投稿作品からなっている。その歌は旧派系が主なものであったが、「杜陵吟社」の歌のように新派系のものも歌われていたことが分かる。そこから當時の盛岡地域の詩歌の盛況ぶりが窺われる。特に、詩歌を樂しむ同人會(吟社)が流行っていたことが分かる。このような時代的雰圍氣の中で、「白羊會詠草」は生れたのであろう。 「白羊會詠草」は今井泰子が言うように「『どれもこれも』が」「晶子に依拠」して「『三十一字音』」を並べていた模倣的習作の段階であったといえる。当時は『明星』調の浪漫的風潮とりわけ与謝野晶子の歌が多くの文学青年に影響を及ぼした時代で、啄木を含めた「白羊會」の同人たちもそういった文学青年の中にいたのである。 こういった流れの中で「翠江」こと啄木の歌も評価されてきたのである。確かに、啄木のこの時期の歌は語彙、韻律、語法、句法など與謝野晶子の模倣が多く見られる。たとえば、「夕の歌」の「夕くれを落葉に人の笛の手はわなゝく指にふし亂れけり」の初句の「を」、「海棠に春の雨濃きおばしまや染めむの歌の絹なき夕」の三句切れの切れ字の「や」、「欄」「髮」「君」「紅」などの語彙がそれであろう。 ところで、興味深いのは「白羊会」の同人の中で啄木がもっとも與謝野晶子の模倣に優れているということである。與謝野晶子の模倣に優れていることが肯定的な評価とは結び付かないだろうが、啄木は「白羊会」の文学仲間の誰よりも與謝野晶子の「語彙、韻律、語法、句法」などを自分のものにしていたのである。それは啄木なりの言葉をあやつる能力や工夫があったから可能であったと思われる。この時期の啄木の歌より、後の天才詩人啄木の姿を見ることは難しいが、少なくとも盛岡中学の文学青年の中で、啄木は言葉を操る能力において上位にあったと言えよう。 ところが、「白羊會詠草」の浪漫的な歌が『岩手日報』の詩歌欄「文苑」の主流ではなかった。前述したが、『岩手日報』の「文苑」欄は旧派系の歌が主流であったからである。「白羊會詠草」は未熟で模倣的な習作の段階に止まってはいるものの、舊派系の歌が主流の「文苑」欄に當時の文壇の新しい潮流である浪漫的雰圍氣を吹き込んだ意義は評價すべきであろう。「白羊會詠草」は中央文壇とはかけ離れている東北の地方新聞『岩手日報』の讀者、詳しくは「文苑」の讀者に浪漫主義という時代の風潮(文壇思潮)を感じさせられる機會を與えたといえよう。この「白羊會詠草」は後の啄木の浪漫主義文學の始點であり、根幹であったといえよう。
KW -
DO - 10.21481/jbunka..58.201308.241
ER -
Yun, Jae-Seug. (2013). 石川啄木と『岩手日報』ー初期短歌「白羊会詠草」を中心にー. Journal of Japanese Culture, 58, 241-258.
Yun, Jae-Seug. 2013, "石川啄木と『岩手日報』ー初期短歌「白羊会詠草」を中心にー", Journal of Japanese Culture, no.58, pp.241-258. Available from: doi:10.21481/jbunka..58.201308.241
Yun, Jae-Seug "石川啄木と『岩手日報』ー初期短歌「白羊会詠草」を中心にー" Journal of Japanese Culture 58 pp.241-258 (2013) : 241.
Yun, Jae-Seug. 石川啄木と『岩手日報』ー初期短歌「白羊会詠草」を中心にー. 2013; 58 : 241-258. Available from: doi:10.21481/jbunka..58.201308.241
Yun, Jae-Seug. "石川啄木と『岩手日報』ー初期短歌「白羊会詠草」を中心にー" Journal of Japanese Culture no.58(2013) : 241-258.doi: 10.21481/jbunka..58.201308.241
Yun, Jae-Seug. 石川啄木と『岩手日報』ー初期短歌「白羊会詠草」を中心にー. Journal of Japanese Culture, 58, 241-258. doi: 10.21481/jbunka..58.201308.241
Yun, Jae-Seug. 石川啄木と『岩手日報』ー初期短歌「白羊会詠草」を中心にー. Journal of Japanese Culture. 2013; 58 241-258. doi: 10.21481/jbunka..58.201308.241
Yun, Jae-Seug. 石川啄木と『岩手日報』ー初期短歌「白羊会詠草」を中心にー. 2013; 58 : 241-258. Available from: doi:10.21481/jbunka..58.201308.241
Yun, Jae-Seug. "石川啄木と『岩手日報』ー初期短歌「白羊会詠草」を中心にー" Journal of Japanese Culture no.58(2013) : 241-258.doi: 10.21481/jbunka..58.201308.241