@article{ART001135324}, author={CHOIHYUNJOO}, title={枕草子に描かれた花(1) ― 卯の花について ―}, journal={Journal of Japanese Culture}, issn={1226-3605}, year={2004}, number={21}, pages={87-100}
TY - JOUR AU - CHOIHYUNJOO TI - 枕草子に描かれた花(1) ― 卯の花について ― JO - Journal of Japanese Culture PY - 2004 VL - null IS - 21 PB - The Japanese Culture Association Of Korea (Jcak) SP - 87 EP - 100 SN - 1226-3605 AB - 枕草子の多樣な內容のうち、もっとも作品の特徵がよく表れているのが、自然描寫の記事ではないかと思う。そこで、枕草子の中にある自然、特に花の描寫に關する記事の考察を通して、枕草子の作品全般に表れる自然描寫の特徵を考えてみたい。そのはじめとして、今回は、万葉集から多くの歌に詠まれ、愛された卯の花に關する記事をとりあげて考察したいと思う。
枕草子には、三つの段に「卯の花」の記事があって、「三八段、鳥は」「九五段、五月の御精進のほど」「二○八段、見物は」の段がそれである。そのうち、卯の花をもっとも印象的に記したのは、第九五段である。この段には、淸少納言の乘っている車に、たくさんの卯の花を差し飾ったのをみて、神に供えるものとして連想した記事がある。他に、「卯の花」の「う」に「憂し」をかけた和歌の表現や、古くから「ほととぎす」が親しみを感じる花としての卯の花の描寫がある。また、「卯の花の垣根」で田舍の風情を表し、「山里」の風景と詠んだ歌詠みなどの、和歌的な表現に基づいて描いていることがわかる。これらの枕草子の第九五段にある「卯の花」の記事からわかるのは、枕草子が、万葉集以來の和歌的な情趣や、枕草子の書かれた同世代の歌人たちの間に流行した、新しい和歌的表現までを充分受け入れている点である。しかし、枕草子は伝統を踏襲しているだけではない。山里の風景を描くところでは、「卯の花の垣根」をもって山里の風景を詠んだ歌とは少し違って、「卯木垣根」と區別して表現している。これは、伝統的な和歌の情趣を受け入れながら、一方では枕草子なりの個性を保っているのを示し、この点が讀者として共感とともに新しさを感じさせ、長い間詠まれつづけられた源泉になったのであろうと考えられる。
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CHOIHYUNJOO. (2004). 枕草子に描かれた花(1) ― 卯の花について ―. Journal of Japanese Culture, 21, 87-100.
CHOIHYUNJOO. 2004, "枕草子に描かれた花(1) ― 卯の花について ―", Journal of Japanese Culture, no.21, pp.87-100.
CHOIHYUNJOO "枕草子に描かれた花(1) ― 卯の花について ―" Journal of Japanese Culture 21 pp.87-100 (2004) : 87.