@article{ART001854152},
author={Yun Hye Young},
title={A study on YUMEJUYA - Focusing on the mechanism of deception -},
journal={Journal of Japanese Culture},
issn={1226-3605},
year={2014},
number={60},
pages={211-225},
doi={10.21481/jbunka..60.201402.211}
TY - JOUR
AU - Yun Hye Young
TI - A study on YUMEJUYA - Focusing on the mechanism of deception -
JO - Journal of Japanese Culture
PY - 2014
VL - null
IS - 60
PB - The Japanese Culture Association Of Korea (Jcak)
SP - 211
EP - 225
SN - 1226-3605
AB - 本研究は『夢十夜』の第四夜、第五夜、第六夜の中に潜んでいる欺瞞の様相と、なぜ漱石がこのような欺瞞を描いたのか、その意図について考察してみた。 まず、第四夜には、珍しい服を着て変な言葉と行動をする老人と純粋な子供が登場する。子供は手拭が蛇になるという老人の言葉を信じて彼の後を追うが老人は川に入ってしまう。川の外で「たつた一人何時迄も待つてゐ」る子供の空虚感が強く感じられる。『夢十夜』を含めて漱石の小説の中に子供が話の主体として登場することは稀なことである。すなわち、子供は旣成世代を代表する老人にだまされてしまったと言える。また、第五夜は人間の本能が発現される「神代に近い昔」として設定されている。虜になった男は死ぬ前に愛する女に会いたいと言い、女は馬に乗って走ってくる。しかし「天探女」の悪戯で女は馬と一緒に「深い淵」に落ちて死んでしまう。ここには、自己中心的な恋に気づかない男の自己欺瞞がよく現れており、結局女は切望の中で死んだのである。第六夜には鎌倉時代の運慶が仁王を彫刻しているのを見た「自分」が、「木の中に埋つてゐるのを、鑿と槌の力で掘り出す迄だ」と言う人の話を信じて自分もやってみるが結局失敗するという話である。ここには、日本の文明開化期を生きながら、何かにだまされ、また他人もだましてしまう人力車夫として代表される群衆が描かれており、彼らは時代がもたらした欺瞞の中で生きていく人物だと言えよう。『夢十夜』には夢という假想空間の中で様々な欺瞞が提示されているが、これは以後書かれる漱石の中․長篇小說の中で現実性を持って具體的に描かれている。漱石文学において不信を招く欺瞞は重要なキ―ワ―ドの一つである。『夢十夜』が執筆された当時の日本は日英同盟(1902)を結び、日露戦争(1904~1905)にも勝利して一等國の隊列に合流したという自負心とともに富國强兵のために全力をつくし、西歐文明を積極的に受け入れていた。漱石は急變する時代に生きる人間の生活に潜んでいる慾望、僞善、不安、そして欺瞞を直視した。すなわち、『夢十夜』にはお互いにだまし合う日本社會の姿とその中で生きていく人間達が描かれている。そして百年、百代後にも相変わらず人間と社会の中に潜む巨大なメカニズムを形成している欺瞞をいろんな形で提示しながら警鐘を鳴らしているのである。
KW -
DO - 10.21481/jbunka..60.201402.211
ER -
Yun Hye Young. (2014). A study on YUMEJUYA - Focusing on the mechanism of deception -. Journal of Japanese Culture, 60, 211-225.
Yun Hye Young. 2014, "A study on YUMEJUYA - Focusing on the mechanism of deception -", Journal of Japanese Culture, no.60, pp.211-225. Available from: doi:10.21481/jbunka..60.201402.211
Yun Hye Young "A study on YUMEJUYA - Focusing on the mechanism of deception -" Journal of Japanese Culture 60 pp.211-225 (2014) : 211.
Yun Hye Young. A study on YUMEJUYA - Focusing on the mechanism of deception -. 2014; 60 : 211-225. Available from: doi:10.21481/jbunka..60.201402.211
Yun Hye Young. "A study on YUMEJUYA - Focusing on the mechanism of deception -" Journal of Japanese Culture no.60(2014) : 211-225.doi: 10.21481/jbunka..60.201402.211
Yun Hye Young. A study on YUMEJUYA - Focusing on the mechanism of deception -. Journal of Japanese Culture, 60, 211-225. doi: 10.21481/jbunka..60.201402.211
Yun Hye Young. A study on YUMEJUYA - Focusing on the mechanism of deception -. Journal of Japanese Culture. 2014; 60 211-225. doi: 10.21481/jbunka..60.201402.211
Yun Hye Young. A study on YUMEJUYA - Focusing on the mechanism of deception -. 2014; 60 : 211-225. Available from: doi:10.21481/jbunka..60.201402.211
Yun Hye Young. "A study on YUMEJUYA - Focusing on the mechanism of deception -" Journal of Japanese Culture no.60(2014) : 211-225.doi: 10.21481/jbunka..60.201402.211