@article{ART000929672}, author={박나미}, title={樋口一葉の「十三夜」における愛と結婚― 泉鏡花の「外科室」との比較* ―}, journal={Journal of Japanese Culture}, issn={1226-3605}, year={2004}, number={20}, pages={155-170}
TY - JOUR AU - 박나미 TI - 樋口一葉の「十三夜」における愛と結婚― 泉鏡花の「外科室」との比較* ― JO - Journal of Japanese Culture PY - 2004 VL - null IS - 20 PB - The Japanese Culture Association Of Korea (Jcak) SP - 155 EP - 170 SN - 1226-3605 AB -
十三夜における愛と結婚は、副題に見られるように、泉鏡花の外科室と比較したものである。
十三夜は明治28年12月、外科室は6月、同じ文藝俱樂部に發表され、發表誌が同じであることと、發表時期が近いことによって、兩者は影響關係にあるものと認められる。
兩者ともその氣の進まぬ結婚をして、數年を經て思わぬ出合をし、外科室は男女が心中に近い自殺を遂げ、十三夜は男の不幸に何をするすべもなく女は別れてゆくという筋である。十三夜のお關は、偶然のことで身分違いの奏任官原田勇に見こまれ、無理矢理結婚させられ、子供の生まれた頃から虐待され、離婚を決意して家に歸るが、父親に說得されて歸って行く。その歸り道に幼な友達の高坂錄之助の人力車に乘せられ、錄之助がお關の結婚の後、身を持ち崩し、自暴自棄になっているのを知る。お關は今更のように愛のない結婚をなげくが、どうしてやることもできないのであった。外科室は高峰という醫學士がまだ學生であった頃、小石川の植物園で逢ったある女性を忘れかねていて、九年後伯爵夫人となっていたその婦人と外科室で執刀醫と患者という關係で對面する。婦人も高峰を忘れずにいて、手術前に飮む麻醉藥を、それを飮めば、本當の事を口起ると主張して服藥を拒む。結局婦人は高峰のメスを胸にあてて死に、高峰も時をおかずに自殺する。十三夜との類似点といえば、結婚は愛によって結ばれるものであり、一旦男女の間に兆した愛は長く消えることがないというのである。この愛を絶對視する思想は北村透谷に發し、鏡花も一葉もそれに共鳴したと思われるのである。
お關は家のために死なずに婚家に戻るが、外科室の場合は、男女が愛のために殉じてしまう。 この辺が男性作家と女流作家の違いであると思う。
KW - DO - UR - ER -
박나미. (2004). 樋口一葉の「十三夜」における愛と結婚― 泉鏡花の「外科室」との比較* ―. Journal of Japanese Culture, 20, 155-170.
박나미. 2004, "樋口一葉の「十三夜」における愛と結婚― 泉鏡花の「外科室」との比較* ―", Journal of Japanese Culture, no.20, pp.155-170.
박나미 "樋口一葉の「十三夜」における愛と結婚― 泉鏡花の「外科室」との比較* ―" Journal of Japanese Culture 20 pp.155-170 (2004) : 155.