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역사의 반복을 비추는 거울 - 『산 제물 남자는 필요한가?(生け贄男は必要か)』의 ‘이야기 속의 이야기’-

송인선 1

1숙명여자대학교

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ABSTRACT

大江健三郎の短編『生け贄男は必要か』はベトナム戦争の特需を題材とする物語の中にもう一つの物語がミザナビーム(mise-en-abyme:入れ子構造)の手法で紹介されている。ミザナビームは一般的に小説内小説と知られているが、そもそも紋章學に起源を持つ「ミザナビーム」という用語の本来の意味――無限の中に入ること、深淵の中に入ること、という意味――を考慮すれば、この技法で書かれる二つの物語の間には複製性・類似性のあることが前提条件となる。『生け贄男は必要か』における二つの物語は各々異なる二つの戦争を背景としている。それはベトナム戦争と第二次世界大戦――具体的には太平洋戦争――であるが、この二つの戦争は歴史的に連鎖しており、列強の帝国主義的な欲望による戦争であるという類似性がある。さらに第二次大戦を背景としている内側の物語(小説内小説)の中には第一次大戦を思わせるイメージやパロディーが使われていて、結局この短い小説の中には〈第一次大戦⇒第二次大戦⇒韓国戦争⇒ベトナム戦争〉といった現代社会における不幸な歴史の反復が描かれている。この小説の手法としてミザナビームが使われたのは、小説の主要題材であり背景ともなっている幾つかの戦争の中に潜在している歴史の反復性あるいは複製性をあらわすためである。 大江は、ベトナム戦争を偶発的な事件としてでなく強大国の政治・経済的欲望が再生産され集約された歴史の反復として描き出したかったと考えられる。複製と連鎖というかたちで果てしない深淵へ入り込ませるミザナビームの手法は、そうした歴史の反復を象徴的にあらわしている。つまりミザナビームという技法自体が、ベトナム戦争の中に重層的に集約されている歴史の反復を暗示的にものがたっているといえるのである。  

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