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遠藤周作の『深い河』論 —心理分析への試み—

  • 日本硏究
  • 2008, (25), pp.159-182
  • Publisher : The Center for Japanese Studies
  • Research Area : Humanities > Japanese Language and Literature
  • Published : August 20, 2008

eunyoung kim 1

1충남대학교

Candidate

ABSTRACT

本論文は遠藤周作の最後の純文学作品である『深い河』の主人公、成瀬美津子の心理分析を試みたものである。第一章ではそれぞれ対極を成している大津と美津子の関係を、美津子の心理推移にしたがって探ってみた。その結果、大津に対する美津子の反発が実は自らのコンプレックスを大津に投影した挙げ句の、自我とコンプレックスの衝突により発生した彼女自身の心理内部的な問題であったことが分かった。第二章では大津と美津子が相反する生き方を見せてはいるが、他人を意識し、他人に自分自身を合わせようとする心的動因を持っていたことと、愛に関する限り、しつこいと思われるほどの強い責任感の持ち主であった点で、背中合わせの人物たちであることを明らかにした。最後に第三章では『深い河』を通して悪の問題を真剣に取り込もうとした作家遠藤の意図が挫折してしまった原因を考察してみた。遠藤は美津子をありとあらゆる陰性的な性向の持ち主として造形しながらも、結局彼自身が思っていた「絶対悪」の要素──たとえば、フロイトのタナトスやフロムのネクロフィリアのような傾向を彼女の内部にまでつらぬき通とおすことには失敗してしまった。おそらく「絶対悪」の世界を表象化したいという目論みは「人間」遠藤にはあまりにも手に負えない課題であったからであろう。

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