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A scent irrelevant to the inner side of Suetsumuhana

  • 日本硏究
  • 2010, (28), pp.287-308
  • Publisher : The Center for Japanese Studies
  • Research Area : Humanities > Japanese Language and Literature
  • Published : February 20, 2010

Byungsook Kim 1

1한국외국어대학교

Accredited

ABSTRACT

帰京後偶然、末摘花の邸宅の前を通りかかった光源氏は、時折、「松にかかれる藤」の芳ばしい 「かをり」に刺激されて、末摘花のことを想起し、二人は再会に至る。「かをり」が二人の再会の媒介になったのである。「末摘花」巻においても確認できるように、洗練された貴族世界の教養に乏しい末摘花において、香りだけは、一貫して由緒ある宮家の象徴として示されており、光源氏と末摘花を恋の世界に導くしるべとして働く。なお、「蓬生」巻の香りは、「松にかかれる藤」から漂う 「かをり」である。この 「松にかかれる藤」の景物は、不変さと人の魂をひきつけるような呪力、それに常磐の松と栄華の藤というイメージを有している。物語は、このような古代からのイメージを利用して、光源氏を護る末摘花の誠実さと、これに基づいて繁栄の一途をたどる源氏を象徴しており、「かをり」は 「松にかかれる藤」の含意の発現であると思われる。このように、「松にかかれる藤」の 「かをり」は、恋の世界へのしるべにとどまらず、帰京後、政治的な威勢を強化していく源氏の位相とも照応すると見られる。末摘花の香りと関連して見過せない点は、香りが彼女の人格と無関係に展開されることである。これは、末摘花が常陸の宮の靈威により護られる存在であり、香りも常陸の宮の靈威により機能していることを語るほかならない。このような末摘花の香りは、二条東院に移された後の末摘花の否定的な造型と関連して考えれば、内面と関わらない、外部の力による香りが持つ機能の限界を提示していると思われる。

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